それでも此処は、私にとって、黄金郷。





「選ぶのはあなたです、戦人さん。皆さんを生かすか、殺すか。世界の人数を2にするか、否か。あなたが、選んでください。」
山のように積まれた眩いばかりの黄金を背景に少女が口にした言葉を、彼は生涯忘れることはないだろう。


「この部屋のものは、全部私のものなんです。」

「山のような黄金も、それと同じくらいの爆弾も、それを起動させるための仕掛けも。」

「私こそが右代宮の当主。屋敷で皆さん下らない議論をしてらっしゃいますが、この島の全ては私のものなんです。」

「汚れてしまったこの島を、綺麗にしようと思うんです。あの頃みたいに、真っ青な海が見られるように。」

「でも」

「それを選ぶのは、あなたです。」

「私に身も心も捧げると誓ってくれるなら、爆弾のスイッチを切ります。」

「断ると仰るなら、12時と同時に屋敷は吹き飛びます。そしてあなたを閉じ込めて、ずっとずっと逃がしません。」


「さぁ、選んでください、戦人さん。」



花が綻ぶような笑顔で紡がれた愛の告白を、どうして彼が断れただろうか。



「素直になりましたよね、戦人さん。最初の頃は恥ずかしがって、嫌だ、って我侭ばっかりだったのに。」
揶揄するような声音に、虜囚の肩がびくりと跳ねた。羞恥にか、屈辱にか、それとも、快楽にか。
けれど彼に口答えなぞする権利が与えられている筈もない。虜囚は虜囚らしく主の機嫌だけ取っていればいい。
「ちゃんとお薬飲めたら、いい子になれましたものね。…ほら、………もっと、欲しいでしょう?」
主がベッドの片隅に忘れられていたように置かれた瓶を手に取る。淡く桜色に色づいた中身はまるで彼女の恋心のよう。
見せ付けるように、瓶を傾け中身を豊満な胸の谷間に溢す。どろり、魔女の秘薬が白い肌を下へ、下へ。
揉みしだきたくなるような胸を辿り、臍でこぷりと溜り、やがて溢れてその更に下の薄い茂みへ。
酷く情欲を掻き立てられるその光景に、虜囚の喉がごくりと鳴った。嗚呼、欲しい、欲しくて欲しくてたまらない。
彼の、いっそ哀れになるくらいの懇願の視線に、主は無言で、しかし可愛らしい笑みを浮かべて許可を出した。
主の許しに、虜囚が恐る恐る口付ける。興奮しているのか微かに震える舌が可愛らしい。
歯列をなぞり、舌を絡めて、唇を啄ばむ。長い長い交わりの後惜しむように口を離すと、未練のように銀糸が主従の口を繋いだ。
顎を辿り、首筋に軽く口付け、鎖骨をひと舐めし、薬が誘う胸の谷間へ。一心不乱に吸い付いてくる彼がまるで赤子のようで、微笑ましい。
否、彼は赤子に違いなかった。魔女のために捧げられた無垢な赤子。
一生懸命な、けれどもどかしい彼の動きに、主の呼吸が自然と上がってゆく。臍を舌で突かれて思わず歓喜の声が漏れた。
「ん、っぁ……!…っ、…、戦人さん…、」
虜囚の舌は更に奥へ。いつも彼を受け入れ締め付け縛める主の最奥へ。
茂みを掻き分け襞を犬のようにべろりと舐めると彼女はとても、とても嬉しそうに喘いだ。虜囚もそれが嬉しくて繰り返す。何度も何度も。
そうして主が喜んでくれれば、優しく優しく抱き締めてくれると知っているから。


戦人さん、と名を呼ばれ、虜囚はのろりと顔を上げた。きっともうすぐ。もうすぐ抱き締めてくれるよ。暖かく迎え入れてくれるよ。
虜囚をベッドに寝転がせ、瓶の中に残っていた薬を、浅ましく立ち上がる彼の性器へと溢す。液体の冷たさに虜囚の身体がぶるりと震えた。
べとつく恋心を根元から先端まで丁寧に塗りこんでやると、女のように高い声で啼いた。なんてはしたない。
「…さあ。いつもみたいに、戦人さんの忠誠を見せてください。私を愛してるって、その証を、見せて…?」
期待に震える主の声。彼に跨り熱を持った肉棒へいやらしく身体を擦り付ければ誘われるように押し入ってきた。
告白の返答を奥の奥まで受け入れて、彼女は満たされたように口の端を上げた。

性急に動き出そうと腰を動かしたところで、戯れに「待て」と号令をかけてみる。だってペットにはたまに悪戯してみたくなるじゃない。
途端に困惑し泣き出しそうに顔を歪めた虜囚の頬を包み込み額に触れるだけの口付けを落とす。
私がいいと言うまで、動かないで。わざと冷たくそう言い放てば、やだやだと首を振る。けれど主の命に従うよう骨の髄まで叩き込まれた彼は動けない。
言葉にならない声を上げて悶える虜囚の頭を撫でてやるとまたゆるゆると首を振った。違う違う違うそうじゃない、そうじゃないの…!
主の中はどこまでも暖かく、柔らかく彼のものを包み込んでくれるのに、あと一歩の快楽が許されない。
「…戦人さんは、私のことが好きですか?」
問いかけに涙を溢しながら何度も何度も頷く彼に、彼女は意地悪してごめんねと、そっと涙を拭ってやった。
「私も…戦人さんのことが大好きです。…だから…愛して?私のことを、愛して…っ!」
言い終わらない内に突かれて言葉尻が跳ねた。箍が外れたかのような彼の律動。
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい気持ちいい気持ちいい!だって自分は今こんなにも愛されている!
我慢をさせられた分虜囚も止まらないのだろう。自分でも何故こんなにがっついてしまうのか分からないといった困惑の表情。
けれどそんなことはどうでもよくなってしまうくらいの、快楽。
「戦人さん…戦人さん…、ばとらさん…!あっあ、あ、……あ…!!」
小刻みな快楽の波に逆らわず主が虜囚の愛で達する。思い切り締め付けられ虜囚はみっともなく喉を仰け反らせた。
ぱくぱくと空気を求める情けない様すら愛おしい。
「これで、終わりじゃないでしょう?もっともっと愛し合いましょう…、ね、戦人さん………?」



再び始まった律動に、空の瓶がベッドから落ちて、暗がりへ消えた。





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あとがき。
最近あまりにも「はとさんは自重を捨てるべき」という意見を頂くので一回自重をかなぐり捨ててみようと書いてみた。
ちょっと自重拾いに行ってくるノシ

(サイトアップ 2010.12.03)





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