きみのことが、だいすきでした。
ぼくのせかいは、まだちいさいきみがぼくをだきあげてくれるところからはじまりました。
そうしてぼくたちは、とてもたくさんのじかんをいっしょにすごしました。
きみがわらうと、ぼくもうれしい。
きみがなくと、ぼくもかなしい。
きみがすきなものは、ぼくもだいすき。
きみがきらいなものは、ぼくもこわい。
だからきっと、ぼくはきみできみはぼく。
ぼくらはきっと、ふたつでひとつ。
きみのことが、だいすきでした。
だから、きみがだいすきだったものをぼくはまもろうとおもいました。
でも、ぼくのことばはみんなにはとどきません。
ぼくのことばは、まじょにもとどきません。
『俺の姿も記憶も、全部、お前にやる。』
だから、どうかきみのちからをかしてください。
『…俺の家族を、みんなを…助けてくれ。』
ぼくらはきっと、ふたつでひとつ。
ぼくはきみで、きみはぼく。
きみといっしょなら、こわいものなんてなんにもない。
だからさいごにひとつだけ、おねがいをきいてください。
いつもしてくれたように、あたまをなでてわらってください。
そしたらぼくは、きっとどんなこわいものにだってむかってゆけるから。
きみのことが、だいすきです。
そうして『ぼく』は、『俺』になりました。
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