ねぇねぇ知っている?兎は淋しいと死んでしまうの!
だからお願い、傍にいて!抱き締めて!愛してほしいの!!





空白。けれどそれは一瞬だった。身体の中に溢れる熱に意識を引き戻される。
上がりきった呼吸がうっとおしい。のぼせた身体がうっとおしい。早打つ鼓動がうっとおしい。
けれど、何より、一番うっとおしいのは。
「なぁなぁ、まだ孕みそうにない?まだ足りない?足りない?」
小首を傾げて可愛らしく問うてくる目の前のこいつが最高にこれ以上ないくらいとてもとてもうっとおしい。なまじ顔が整っているだけに酷く苛々する。
しかも兎耳という謎のオプション。もっふもふしてて非常に可愛らしい。のだが。こいつについてる意味が分からない。
いやそんなことはこの際どうでもいい。何でこいつに好き放題犯されなきゃならない。そっちのほうがずっともっとさっぱり意味が分からない。
「…孕んで、たまるかっての……俺、男だし…!」
上気した吐息に乗せて途切れ途切れに、覆しようのない事実を述べる。いや普通分かるだろ一目見て!だってちゃんと付いてるし!!
「でも、俺十代のこと好きなんだ!好きで好きで好きでもうこのまま狂っても悔いは無いってくらいに好きなんだ!好きな人との子供が欲しいって思うのは、生き物として当然だろ!?俺、十代との子供が欲しいんだ、愛してるッて、愛されてるッて証が欲しいんだ!」
「いや、だから…っ、俺、男だから…!」
生物学的に、無理だ。胎を持たない男の身体ではいくら気合入れたってどうしようもない。
それを、目の前の男は解っているのだろうか。解っていたならばこんな愚行は犯さないだろうけど。

にっこり、という擬音がぴったりの笑顔で、彼は更に腰を押し付けてきた。今さっき出したばかりだってのにもう勃ってやがる。最悪だ。
爽やかな笑顔とはかけ離れたねちっこさで彼自身を動かしてくる。じっくりと、じっくりと!無い筈の胎を探すかのように!
「…っ、……!…、う…!」
熱を引き摺り出される。否応無く高みに連れて行かれる感覚に、声を殺して必死に耐える。叫んだら何故だかそこで終わりだと思った。
受け入れて、しまったら。それこそ骨の髄まで食い尽くされると、思った。
奴の頭に生えてるのは草食動物の耳だけれど、ありえない。奴の目は、あのぎらついた目は間違いなく肉食動物そのものだ。

がっちりと、指と指を組み合わせて深く深く手を繋がれる。手に篭る力に比例するかのように、中のものの動きが激しさを増す。
何とか逃れようと腰を捩ると、許さないとばかりに片足を抱え上げられ、一層深く抉られた。ひ、と上ずった声が思わず上がる。
彼は笑みを深くして、耳元に吹きこんだ。可愛い、と吐息に掠れた声にも感じるこの身体を今すぐ放棄してしまいたい!
「素直に、声出しとけよ…まだ、孕みそうにないんだろ?出来るまで続けるかんな。だったら少しでも愉しんだほうが、得だと思うぜぇえ?」
―――ああ本当に、この兎耳は、詐欺だ。



どっぷりと、余すことなく中に吐き出された白濁。それらに行き場なぞ無いことなど、解りきったことなのに!
けれどやはりこの肉食動物は、草食動物のふりをして、可愛らしく問うのだ。
「どう?孕みそう?」





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あとがき。

これも茶会の時の即興召喚でした。リクは兎ヨハン×十代だったはずなのに あれ?兎関係なくね?
イッツはとさんクオリティ。
俺「今回は病んでない筈」→ほうろさん「最初2文で却下」
orz これでも…病んでる…だと…!?俺的には全然病んでないん です けど … 。
病んでるのはヨハンでなくてむしろ俺だという説。有効です。

(サイトアップ09.03.08)





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