偏愛10のお題


1つ目/胸が打ち震えたその瞬間





どうか、最期の瞬間まで。
…あの子が、気付きませんように。



本当に、死んだとばかり思っていた。あれだけの崖から落ちて…生きていられる筈がないと。
でも、生きていた。あの子は生きていた!
記憶を失くしてしまったようだけれど、否、かえって都合がいい、のかもしれない。
だって、仮面の寄り代が自分だと…母親だと知ったならば、きっと優しいあの子は戦えない。
だからこれでいい。…きっと、これでいいのだ。

(…シオン、)
思えばあの子には、辛い運命を押し付けてばかりだ。
指輪のことだけだって、大変なことなのに。母親を、自らの手で消さねばならぬなど。
ああ本当に、記憶が無いことだけが、救いだ。
憎めばいい。憎めばいい。憎んで憎んで憎み通して、敵として屠ればいい。
(そうよ、シオン。貴方が倒すのは、敵。世界に仇なす、敵。)
(だから、貴方が悪いことなんて、何一つ、ないのよ。)

どうか、終わらせて。
こんな風に、仮面の寄り代として…動力としてだけ使われるなんて、もう、耐えられない。
あの人が守った世界を、壊すことに、耐えられない。
だから、漆黒に塗りつぶされたような世界の中で、あの子を見つけた時。ああ本当に、嬉しかったの。
これで、きっと終わる。今のあの子ならば、出来る筈。
指輪と、それを預ける相手と。それを持つ今のあの子ならば…きっと、出来る。終わらせて、くれる。


『かあさん、』
―――叶うならばもう一度だけ。そう、呼ばれたかったけれど。



胸が打ち震えたその瞬間
(愛したわが子の手で、逝けるのなら…、)





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あとがき。

ティアーズのターン!
シオマオ(ゼロマオだったが)、シオエルときて次はシオリュナか!?と思ってた方いらしたんじゃないでしょうか。
というかはとさんも最初はシオリュナ書こうと思ってたんです。思ってた筈なんです。
なのに何故気付いたらゼノヴィアママンになっているのだろうか。何故だ。おかしいな。
うっかり設定資料集のネタバレ入れそうになって焦った。駄目だ。流石にあれは駄目だ。

(2009.05.03)





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