貴方に願う10のお題
6つ目/前だけをみつめていて
どうか、振り向かないで。
自分勝手な、ぼくの願い。
エルデの時もそうだった。
彼女に見つからないようにこそこそと逃げ回って。
全てが終わった今でさえ、自分は彼女を避け続けている。
何て自分勝手なんだろうと、ゼロはぽつりと呟いた。
父親という呪縛から解き放たれた彼女に、新たに苦痛を背負わせて。
力が暴走してしまうかもしれないなどとまた自分勝手な理由を付けて彼女を遠ざけて。
―――本当に、何て、罪深い。
視線の先には、ソウマと和やかに話すマオの姿。
何かソウマが冗談めいたことを言ったのだろうか、不意にマオが笑った。
シオンが…人であった自分が求めてやまなかった、輝かしい笑み。
(…でももうぼくは、シオンじゃない。)
(彼女の笑顔を求める資格なんて、ぼくにはない。)
そうだ、自分がこの手で断ち切ってしまった。
ずっと続く筈だった、2人の時間を。
(…お願い、振り向かないで。)
これで最後、だから。
その笑顔を、覚えておきたい。
ほんの刹那でいい。…だから。
(……振り向かないで。)
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あとがき。
アニティア最終話より。
最早トラウマと化しそうなあの場面から。
若干お題に沿ってないような気も…。
「前を見つめていて」なのに「振り向かないで」って…。
視線的には一緒だからいいかなとおもったんだけど…うーん。
(2007.07.07)