貴方に願う10のお題

4つ目/この手を拒まないで





お願いだから、逃げないで。

追いかけ続けた、アタシの願い。



…会って、どうしようというのだろうか。
ルミナスナイツのメンバーが、ラゴウの村にいると聞いて。
行きたいんでしょう、会いたいんでしょう、会っておいでよ、話しておいでよと、
エルウィン達に半ば追い出されるようにしてここまで来たはいいものの。
彼と…ゼロと、会って。自分は、どうしたいのだろうか。


あの一瞬。
リュウナの腹に突き刺さる、見覚えのある大剣。
鎧を突き破られ、無残に地に伏すラザラス。
血塗れの羽根を背負い、哄笑するシオン。
…あの一瞬、自分は確かにシオンを疑っていた。
皆から事件の真相を聞いた今でも、彼を疑ってしまったという事実は消えない。

…信じてあげなければいけなかったのに。たとえ何があったって。


覚悟を決められないまま、村の入り口に差し掛かる、と、ふいに響く賑やかな声。
買出しを終えたらしいルミナスナイツの面々と、彼らの輪から少し離れたところに…
「、っ……!」
見知った後姿。見間違えるものか。忘れるものか。自分が彼を見間違えるなど、ありえない。
口の中はカラカラに乾ききっていて…それでも、やっとのことで言葉を搾り出す。

「………シオン、くん…?」

その名に、彼の肩がびくりと跳ねる。
そうしてぎこちない動作で振り返った彼の顔は、泣きそうに歪んでいた。
驚きと、戸惑いと、恐怖と…様々な感情が交じり合った、複雑な表情。
「…マオ、」
懐かしい声が、己を呼ぶ。ああ、そうだ。自分はこの人に会いたかった。
会いたかった。…会いたかったのだ。会って、抱きしめたかった。

震える手を叱咤して、彼の顔に手を伸ばす。
今度は、何があったって信じ抜いてみせるから。


だから、お願い…この手を、拒まないで。





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あとがき。

ラゴウという村の名前をど忘れした。
村の位置とか、風景とかは覚えてるのに名前だけ時空の狭間に吸い込まれました。
埒が明かないので攻略本引っ張り出したらうっかり読みふけってしまった。
…え?オチ?ないよ?wwwwwww

(2008.04.06)





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