「歪んだ愛情10のお題」

9つ目/『永遠』





「ふふ、良く出来ました。」
血塗れの凶器を持ったまま立ち尽くす彼。
青の双眸は空を彷徨い、どこを見ているのか分からないまま。
道に迷った幼子のような彼を、後ろから優しく抱きしめてやる。
以前は手酷く抵抗されたものだけど、今の彼は静かにそれを受け入れる。


だって彼はもう自分と同じ―――『永遠』を生きる者だから。


「ぐっ、」
視界の端で、明るい金髪が揺れる。
「いい恰好だね、ギンタ。」
「テメェ…ファントム…!!」
真っ直ぐ見上げてくる幼い瞳。
「憎む対象が違うんじゃないのかな。君や君の仲間をそんなにしたのは、アルヴィス君だよ?」
「お前が、操ってるんだろ!?アルヴィスを、元に戻せッ!!」
痛みに詰まりながらも、威勢よく噛み付いてくる。
ふらつきながらも立ち上がった。地面に鮮血が滴り落ちる。
「たとえ自我を戻してやったところで、何になる?血だらけの君や仲間を、自分の手にある凶器を見て。
 …壊れちゃうよ?」
腕の中、人形のように、身じろぎすらしない彼。
黒い髪も、青い瞳も、白い肌も華奢な身体も…脳天から爪先まで、焦がれて仕方なかった存在。
いつか来る何度目かの生誕のために眠っていた間も、ずっとずっと夢みていたんだ、彼と永遠を歩くことを。
やっと…やっと叶った夢。
「それにどのみちもう遅い。タトゥは完成したのだからね。」
その一言は、これ以上ないくらいにギンタを打ちのめしてみせた。
悔しいかい?…悔しいだろうね。
己の力では呪いを解いてやれず、僕を殺すことも出来ず。
そうしてどっぷりと憎しみに漬かってしまえばいい。それはきっと君の力になる。

「でも…!それでもアルヴィスは、俺の仲間だ!!」
「諦めが悪いね。…君がこの世界に来るずっと前から、彼は僕のものなのに。」
「アルヴィスが誰と歩いていくかは、アルヴィス自身が決めることだろ!」
「有限の君らと、無限の僕。『今の』彼にとってどちらがいいかなんて、一目瞭然じゃない?」
交わらない会話。
だってそう、彼の命には限りがあるから。僕らのことなど、理解できるはずないじゃないか。
けど、誰にも理解できなくていい。

―――彼のことを分かってやれるのは、僕だけでいい。


「悔しかったら、ウォーゲームを勝ち抜いておいで。」
「強くなって、僕に勝って、アルヴィス君の自我を引きずり出してご覧。」
「それでアルヴィス君が君と歩きたいというなら…考えてあげる。」

少しの間なら、貸してあげてもいい。
だって結局戻ってくるのは、同じ永遠を生きる僕のところだけだから。
「越えられるものなら越えてみなよ。…永遠という、途方も無く高い壁を…ね。」



黒曜石の色をした髪を、タトゥが刻まれたほうの手で梳いてみる。
固く、滑らかで、どこかひんやりと冷たかった。





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あとがき。

続きません。
酷く難産でした…今までメルに関してはすんなり動いてくれたのですが…。
実は、これともう一つ、バージョンがあって、どっちにするか凄い悩んでたからなのです。
因みに別バージョンはギンアルです。
ギンタが凄い頑張ってくれちゃったので、どうしたものかと悩みに悩み、ここはファンアルサイトなんだし…と、
こっちバージョンを採用しました。
でも、勿体無いな…お題とは別に短編でリサイクルしようかなぁ…。
(2007.02.01)





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