歪んだ愛情10のお題
6つ目/自己犠牲=自己満足
結局、一番救いたかったものは。
―――まるで、綺麗な鳥籠のようだ。
ぼんやりとキラは、そう思う。
身の回りの家具は全て品の良いもので揃えられていて、食べ物も温かいものが運ばれてくる。
けれど、外と接触することだけは叶わない。
扉が開けられるのは、飼い主が手を差し伸べた時だけ。
けれどこの鳥籠に入るのを望んだのは、間違いなく自分なのだ。
ドアのスライドする音。
鳥籠の鍵を持つ、ただ一人の人物。
「…アスラン。」
「ただいま、キラ。」
何故だろう。昔はとても愛おしかった筈のその笑みに、影が混じっているような気がするのは。
でも、それでも自分はアスランに縋らずにはいられない。
トール、ミリィ、サイ、カズイ……フレイ。
そして、アークエンジェルの皆。
ぼくの手はあまりにも小さくて、とても一人では皆を守れない。
エゴに近い…否、エゴそのものの感情だと分かっていつつも、ぼくはあの台詞を口にした。
『ぼくが行けば、みんなを助けてくれる?』
「アスラン…アークエンジェルは…?どうなった?」
「約束どおり、こちらから手を出してはいないよ。まあ、後をつけさせてはもらってるけど。」
「…本当、に?」
「本当だよ。…キラがここで、いい子にしてさえいれば…ね。」
髪を玩んでくる彼の笑顔は、限りなく昔の優しい笑みに近く、それでいて限りなく遠かった。
「俺が守ってあげる。キラも…キラの”オトモダチ”も。」
「だから、ずっとここにいて?…ね、キラ?」
「……うん。」
頷くその一方、頭のどこかでは冷静に判断を下す自分がいる。
きっともう、アークエンジェルは…。
自己犠牲=自己満足。
イコールで結ばれたこの醜い感情を止めることなど、もう出来ない。
結局一番救いたかったのは、きっと浅ましく罪深いこの自分自身。
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あとがき。
カップリングというよりただの自虐的なキラさんだなこれ…。
アス出てるけど…あんまり…。
うーん、ちょっと中途半端になってしまったかも…。
(07.04.06)