待たせてしまってごめんね。
これからはずっとずっと、傍にいてあげる。
―――そう、永遠に。
漆黒に染まるレスターヴァ城。
荘厳な広間に、当然のように君臨する青年の姿があった。
「ご復活、心よりお祝い申し上げます…ファントム。」
恭しく祝いの言葉を述べる黒衣の男にファントムはうっそりと笑った。
「ありがとう、ペタ。…でも随分と待たせてしまったかな?
さすがに6年は眠りすぎたね。」
そのようなことは…とまた頭を下げる彼に、そう、とだけ返して。
先ほどから感じる、どこか遠い目をしたファントムに、ああそうかとペタは思い当たって。
「…青い瞳の小鳥のことならご心配なく。鳥籠に鍵をかけて仕舞っておきました故。」
「随分詩的な表現をするじゃない。…明日は雨かな?」
「先程、ロランを迎えにやらせました。そろそろ、戻ってくる頃合かと。」
ペタのその言葉が終わるか終わらないか、というところで魔力の気配。
そして…
「離せって言ってるだろ!この馬鹿!!」
凛としたテノールが、広間に響き渡った。
「…あれ?ロランかい?…随分大きくなったねえ。」
吹き飛ばされるようにして着地した茶髪の少年はその声に
あわわ、と擬音が聞こえてきそうなほどあわてふためいて。
「ファ、ファントム!!すすすすみません、遅くなりました…!」
「いいよ、気にしてない。…それに初めてちゃんと、連れてきてくれたみたいだし。
―――ねえ、アルヴィスくん?」
6年経っても、その印象的な瞳は変わらない。
強烈な光を放つ、その蒼。
「ファントム…!」
「やっぱりぼくの目に狂いは無かった、かな。…ここまで、とは。」
初めて会った時から予感はしていたけれど、成長した彼は正に極上の獲物だった。
あのぬいぐるみのような愛くるしさが失われてしまったのは少しだけ惜しいけれど。
少年のほうへ歩を進めると、じり、と彼が身構える。
けれど、自分では敵わないということは自覚済みなのだろう。
(何せ、ペタやロランも控えているから。)
抵抗はその宝石のような瞳で睨み付けてくることだけ、だった。
白磁のような肌にそっと、手を寄せる。
「…ただいま、アルヴィスくん。」
やっと、戻って来れた。
覚悟して?…もう、離したりはしないから。
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あとがき。
久々の小鳥さんです。
時間軸ちょっと進んで、現在。トム様復活直後です。
因みにアルちゃんは6年間カペル氏の所に預けられていたといういらぬマイ設定。
や、あの島絶海孤島だから…ちょうどいいかなって…。(何故慌てる)
でも、ぺったんとロランはカペル氏が妙な実験しないだろうかとヒヤヒヤだったと思う。
そんな、更にいらぬマイ設定。