次にこの手を離すのは、私が死んだ時でありますように。




重い瞼を、それでも上げる。すると見慣れない天井が目に入って一気に意識が覚醒した。
「アル!?」
すぐ傍から聞こえてきた高い声に、そちらへ顔を傾けると。
「アル、ねぇ分かる?覚えてる?ベルのこと、覚えてる!?」
「忘れるわけないよ。…ずっと、会いたかった…ベル。」
そう言うと、ベルの瞳は忽ち潤む。小さくて大きな瞳いっぱいに水を湛えて。
我慢しようとしたが、しかし堪えきれずに決壊する。
「アル、アル…!名前、呼んで…!アル…!」
「ベル。大丈夫。ここにいるよ…ベル。」


しゃくりあげながらも、何とか落ち着いたベルが、ちょこんと首元に顔を埋めてくる。
「…助けてあげられなくて、ごめんね。ベルも色々調べたけど…結局、何一つ分かんなくって…。」
「謝るのは俺のほうだよ。『ベルは俺が守る』なんて言ってた癖に。…結局6年も、一緒にいてあげられなくて。」
その言葉に、ベルは緩く首を振った。きらきら光る雫が、動きに合わせて散った。
記憶に残る、いつもせわしなく元気に動いていた羽根も、今は項垂れて。
―――ずきりと、胸が疼く。
彼女には、笑っていてほしいのに。自分はいつも、彼女を苦しめてばかり。…否。きっと、これからも、だ。
嗚呼、なんて、罪深い。


それでも…今だけでも構わない。一緒にいたい。そう、思ってしまう。
それが、別れを辛くするだけだと分かっていても。
6年越しの再会は、あまりにも暖かくて。また離れなければならないというのに、その勇気が悉く瓦解してゆく。
どこまでも弱い自分に、眩暈すら覚える。
6年前から、ずっとそう。どんなに抗っても、何も変えられなくて。
ただただ、濁流に飲み込まれるだけ。手を伸ばしても、何にも、何処にも届かない。
果てしない闇の只中に、なす術なく落ちていく。
ならばせめて、最期は自分の手できちんとけりをつけるべきなのに。それすらも、揺らぐ。

堂々巡りの思考を断ち切りたくて、目を閉じる。
甘い考えかもしれないけれど―――せめて、もう少しだけ。



せめてもう少しだけ、傍にいてあげたい。





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あとがき。

というわけでアルベル。初書きか?と思ったら拍手で書いてましたね。
アルベルはファンアルと同じくらい好きなんですが公式が完璧すぎるせいで中々付け入る隙がありません。
そして幸せにしてあげたい気持ちとは裏腹にシリアスになるはとさんクオリティ
くそう!この手か!この手が悪いのか!(ポカ)

(2009.10.27)





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