自分は盾。絶対の盾。
光からも、闇からも、世界からも…守って、みせる。




『お前の心に、闇なんて必要ないんだ!』

何を馬鹿な事を、と覇王は思う。
自分たちで傷つけて、苦しめておいて。徹底的に拒絶してみせた癖に、今更。
デュエルに勝つことも負けることも否定されたこいつがどんなに苦しんだか。
…分かるものか、貴様ごときに。

「・・・おう、覇王。」
つい先程消した隻眼の男に気を取られすぎて、少年の呼ぶ声に気付かなかったらしい。
方膝をついて、どうした、と問う。
「さっき、だれかが…よんでた、きがするんだ。」
元から語彙の多いほうではなかった。けれど本当に幼子になってしまったかのように
舌足らずに話す彼に、やりきれない思いがこみ上げる。

―――見ろ、これがお前たちの“友情”の結果だ!!

立ち続けて、背負い続けて、勝ち続けて。
望まれたから。望んだから。なのに。
『助けて、十代!』
『仇なんか討ってもらったって、消えた皆は帰ってこない!!』
なのに何故、十代は心を砕かれなければならない!!


「覇王?」
応えない自分を訝しんだのか、十代が小首をかしげるようにして顔を覗き込んでくる。
何も宿さない、空ろな黄金と目が合う。
「…その声は、まだ聞こえるか?」
「ううん?」
茶の髪に手を差し入れ、そっと梳いてやる。
さらりとこぼれる髪。
十代が気持ちよさそうに、目を細めた。
「なら、気にすることはない。…きっと、空耳だったのだろう。」
その答えに十代はそっかぁ、と何の疑いもなく笑って。
けれど、お前はそれでいい。

何も見なくていい、何も聞かなくていい、何も知らなくていい。
…俺がお前を、守ってやる。




プラウザバックで戻ってください。

あとがき。

ブログに載せてたときに、これの前に書いた精神崩壊気味十代にえらく拍手頂いてたので、
調子に乗ってまた十代壊してみた。(てめええええ)
はとさんの中では覇王様=盾のイメージが強い。(甲冑的な意味で)

ブログ掲載:11/26
サイト掲載:12/8(加筆修正)





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