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1.ゼロリュナ/アニメ準拠
大切な筈なのに。
いつも世界が、心を裏切る。
「後悔…してらっしゃいますか?」
「それを、きみが言うのかい?」
柔らかい笑みに乗せて紡がれた言葉は少なからず皮肉めいていた。
しかしそれを咎める資格なぞ己にありはしない。
だってそう、彼を変えてしまったのは他ならぬ己自身なのだから。
「それに、後悔する逃げ道は、与えてくれなかったじゃないか。」
拗ねたように言う彼に、かつての面影を見る。己が消してしまった、かつての彼を。
「あのままきみを見捨てて逃げたほうがもっと後悔することになるだろうし、それに”ゼロボロス”の力を放っておくこともできなかったし。
ぼくには結局いつだって、選択肢なんてものは存在しないんだよ。…あの戦いの時も、今も、そしてきっとこれからも。」
彼の目の前にはいつも道は一つきりしかなくて、彼は望もうと望むまいとその道を進む他ない。
留まることも、戻る事も許されない、過酷な運命。
その運命を往く彼の強さと元来の優しさと。どちらも己にとってかけがえの無いもの。
あなたを変えてしまった私が言っても信じてもらえないかもしれないでしょうけど、わたくしは今でもあなたが大好きなんです。
「ねぇ、ゼロ。」
「…ん?」
「…わたくしと出会ったことは、後悔なさらないの?」
そう。あの時己が勇者亭に迷い込まなければ…わたくしたちが出会わなければ確実に、現在は存在しない。
その問いに、彼は微かに眉を寄せて笑う。
「生憎と、後悔してないよ。大切な出会いまで後悔したら、本当に人でなくなっちゃう気がしてね。」
ああどうか。どうかこれ以上、世界が彼を裏切りませんように。
彼がその出会いを、後悔しないように。
もう一度この二人がほのぼのまったりできますように
2.ゼノヴィア母子/ED後妄想
けれど彼らは、どこまでも親子だった。
ノックをしようと伸ばした手を、戸惑った末に下ろす。
…何を言えばいいのか、とても纏まりそうになかったから。…だからやっぱり、黙って出て行くことにした。
ずっと母と二人で暮らしてきて。母には何でも打ち明けてきたけれど。
でも。…でもこれは、自分の。自分だけの問題なのだろうと、そう、思った。
何故そう思ったのか…自分でも分からない。ただ、酷く、漠然と。
指輪の力を、真に支配する。なら、指輪を今まで持っていた母に助言をもらうことだって、できるのでは?
…否。違う。きっと自分は、そういうことを言ってもらいたいんじゃない。
廊下を歩きながら、考える。母に。自分は、何と言ってもらいたかったのだろう。
背中を押してほしかった?頑張りなさい、きっとあなたなら出来ると、言って欲しかった?
…それとも、引きとめてほしかった?もうあなたが指輪の事で戦う必要なんてないと、言って欲しかった?
きっと後者だろうと考える自分が、情けなくて泣きそうだ。
「行ってしまいましたね。…良かったんですか?これが最後かもしれませんよ?」
ピオスの言葉にゼノヴィアは首をゆるりと振って、否定の意を示した。
「いいの。私も…何て言ってあげればいいのか、分からなかったから。」
「私、も?」
「私の部屋の前まで来て、何も言わずに行ったってことは…きっとあの子も、私に何て言ったらいいのか分からなかったからだと思うの。」
なるほど、とピオスが苦笑する。それは、彼らしいですね、と。
何も言わずに行ってくれて、むしろ良かったのかもしれない。本当に何を言ってあげたらいいのか、分からなかったから。
背中を押してあげたかった?頑張りなさい、きっとあなたなら出来ると、言ってあげたかった?
…それとも、引きとめたかった?もうあなたが指輪の事で戦う必要なんてないと、言ってあげたかった?
後者を言ってあげられない自分が、とても残酷で泣きそうだ。
ゼノヴィアママンのキャラがいまいち分からないのが敗因かと
3.シオマオ/ED後妄想
変わっていくこと。変わらずにいること。
戦いが終わったシルディアは、今日も穏やかだ。
ヴォルグに頼まれた買い物を終えて勇者亭から少し離れた川のほとりで休憩するのが、二人の日課となっていた。
昼を幾分か過ぎた辺りの日差しは眩しいけれど、風が爽やかで暑さは感じない。
怖ささえ感じるくらいの、よく晴れた静かな日。
「アタシね、シオンくんの記憶が戻るの、ほんとはすっごい怖かった。」
中央通りで買ってきた林檎を齧りながら、マオがそう呟いた。
「…どうして?」
「………シオンくんがね、変わっちゃったらどうしようって。なんだか、シオンくんが、すっごく遠くに行っちゃう気がして。」
そこまでを言い終えて、マオは空を仰いだ。まばらに雲が浮かぶ、静かなシルディアの空。
太陽の光が眩しくて眩しくて、思わず目を細める。
「ぼく、変わった?」
「頼もしくなったよ。でも、やっぱり根っこのところは変わらないなぁって思う。」
「マオは、変わったよね。」
隣の彼を見遣ると、彼も先程の自分と同じように青空を見上げていた。
「そう?」
「うん。なんていうか、明るくなった。」
空を見つめたままの彼の表情が和らぐ。ふとした瞬間に見せるこの笑顔が、好きだ。
染み渡るように心に馴染むこの優しい笑顔が、好きだ。叶うならずっと、この笑顔の隣に居たい。
肩に頭をことりと乗せると微かに肩が跳ねたのが伝わってきた。ああもう、本当に、変わらない。
「アタシが変われたのはきっと、シオンくんのお陰だよ。」
「じゃあぼくが変わらないでいられるのは、マオのお陰だね。」
悪戯っぽく笑い合って、二人してまた空を見上げる。
怖ささえ感じるくらいの、…よく晴れた静かな日だった。
どうしてアニメはシオマオクラッシュしたんですか…