ようこそ星合荘へ〜202号室・アルヴィス兄弟編〜





朝の柔らかい日差しが室内を優しく包み込む。洗濯物がよく乾いてくれそうな、いい天気。
肩に乗ったペットのインコ・ベルも気持ちよさそうだ。伸びをするように透き通った水色の翼を羽ばたかせている。
ここのところずっと天気がぐずついていたから、彼女も嬉しいのだろう。
そうだ、帰りに買い物もしてこよう。一日の計画を立てながら、学校の支度をする弟へ声を掛けた。
「ルヴィ。今日の夕飯は何がいい?」
「アル兄が作ってくれるんなら何でもいい!」
はっきりきっぱりとした返事は、嬉しいものだけれど作る側としては何かリクエストがあったほうがありがたい。
「じゃあ肉料理と魚料理だったら?」
「ハンバーグ!」
微妙に回答がずれている気がしないでもないが、せっかくのリクエストなので頂いておくことにする。
分かった、じゃあハンバーグにするね、と返せば頗る良い笑顔が返ってきた。

6つ年下の弟は、あまり文句を言わない。親がいないこの境遇を、彼なりに理解しているらしかった。
申し訳ないなと、思う。もっと我侭を言いたい年頃だろうに。せめて自分で出来る範囲で。弟の願いを叶えてやりたいと思う。
そのためならどんな苦難も苦労ではない。この弟だけは、どんなことがあろうと守ってみせる。
頭にふと過ぎった天敵もといストーカーの影にげんなりする。くそ、折角良い天気なのに、何だか翳ってきたような気さえしてきた。
幻影を振り払うように首を振る。…考えるな、考えるな。何度か己に言い聞かせて、思考を無理矢理別のほうへ向けた。
「ルヴィ?そろそろ出ないと。遅刻するよ?」
あっ、という声を上げて、慌しく玄関へ走る。足音につられるように、黒のランドセルもがちゃがちゃと音を立てた。
「アル兄、ベル、行ってきまーす!」
「いってらっしゃい。気をつけろよ。」

軽やかに走っていく弟とその友人の背を2階の窓から見送って―――ふと、気付いた。気付いて、しまった。
電信柱に凭れ掛かり此方を見上げている、銀髪の悪魔の姿に。
ひくり、と口元が引き攣るのを感じる。咄嗟にカーテンを閉めた。良い天気なのに勿体無いとちらと思ったが、奴の顔を見たくは無い。
ほの暗くなった室内で、アルヴィスは深く、長い溜息を吐いた。


どうやら今日も、血の雨が降りそうだ。





脳内キャラ設定202号室編
アルヴィス(16)
202号室で弟と二人暮らしをしている。両親とは死別。ダンナさんちに引き取られたが部屋が狭すぎて引っ越してきた。
綺麗な顔をしているが故か、凄く不幸体質。現在の元凶は主に銀髪のストーカー。
強烈な住人が集う星合荘の中でも、リアルファイトでは最強の部類に入る。棒状のものを持たせるとすさまじく危険。
ルヴィ(10)
アルヴィスの弟。棘のある性格の兄とは違い、幼い故か天真爛漫。201号室の十代とは同級生で親友。星合荘の癒しコンビ。
頭の回転が速く、大人びていている子。尊敬している兄を困らせたくないので我侭は言わない。
201号室の覇王曰く、「姉上に爪の垢を煎じて飲ませたい。」
ベル(?)
アルヴィス兄弟に飼われている手乗りインコ。メス。薄い水色の羽で、顎からお腹にかけての辺りが白。
非常に頭の良い子。兄弟に害のある人間が近づいてくると先制攻撃で毛を毟る。その聡明っぷりに鳥の姿を借りた妖精なのではという説も。
203号室のゼロさん曰く、「ここに合わせた姿になっただけのことだよ。」とのこと。





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